自己破産する人の平均負債額はいくら?破産できる借金額とは

「いくら借金があれば自己破産できるのだろう?」

借金問題に悩んでいる方であれば、一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

確かに、周りの人がどれだけの借金を抱えていて、自己破産へと至ったのかについては気になってしまいますよね。そして自身の借金額がそれ以下であれば、「もっと頑張った方がいいのかも」、なんて気持ちになってしまうことがあってもおかしくはありません。しかし、自己破産にはいくら借金があればできるといった明確な基準は存在しません。

では、どういった基準で自己破産の可否は裁判所に判断されているのでしょうか?
今回は、自己破産の平均負債額について触れながら、一体いくら借金があれば自己破産できるのかについて、詳しくご説明していきます。

自己破産の平均負債額は約1500万円

日本弁護士連合会の調べによると、2020年の自己破産の平均負債額は1449万9580円となっています。この金額を見て、高いと感じた方、低いと感じた方それぞれいると思いますが、こちらはあくまでも平均値(※)でしかありません。平均値というのは、極端に高い数値(もしくは低い数値)の影響を大きく受けてしまうものです。日本弁護士連合会の調査では算出されていませんでしたが、中央値(※)に関してはもう少し低い金額になるはずです。

また、この平均負債額には経営者の方など、日頃から大きい金額を動かしている方も含まれています。よって、あまり平均負債額を気にする必要はありません。たとえ数十万円程度の少額な借入であっても、自己破産している方はたくさんいらっしゃいます。

(※)
平均値:データの個数とデータの合計を割って算出する値
中央値:データを大きさ順で並べた際にちょうど真ん中になる値

自己破産に金額の基準はない!目安は3つ

冒頭でも触れましたが、自己破産をするのに借金額の明確な基準はありません。自己破産するには最低いくら借金がなければならない、最高でいくらまでなら自己破産ができる、といった金額の基準は一切設けられていません。自己破産を裁判所が認めるか否かは、債務者の方が「支払い不能状態」であるかないかで判断することになっています。とはいえ、支払い不能状態についても明確な基準は設けられてなく、個々の状況によって異なるものとなっています。ただ、目安となるものが3つあるため、以下をぜひ参考にしてみてください。

①支払い能力がないこと

支払い能力がない場合は、支払い不能状態と言い換えることができます。
具体的には、売却できるようなめぼしい財産がない、現在無職であって収入がまったくない、といった場合は、支払い能力があるとは言えず、まさに支払い不能状態と言えます。

②弁済期がきている借金があること

弁済期がきている借金の支払いができていない場合、支払い不能状態にあると言えます。

たとえば、先月に支払わなければならなかった消費者金融への返済ができておらず、督促を受けているが、それでも返済の見込みが立たないといった状況です。
一方で、弁済期がまだ到来していない借金の返済ができない状態というのは、支払い不能状態であるとは言えません。どれだけ大きい金額であっても、到来までに返済見込みが立つ可能性が否定できない以上、支払い不能とは認められないため注意しましょう。

③継続的・客観的に返済できないこと

借金の返済が継続的・客観的に返済できない場合、支払い不能状態にあると言えます。

一時的に借金の返済ができないだけであれば、支払い不能状態とはいえません。たとえば、一時的に収入は落ち込んでいるものの、数か月後には回復する見込みがある、といった場合です。また、いくら主観的に返済できないと感じていても、客観的に返済できるのであれば、それは支払い不能状態とは言えません。とはいえ、こちらは個人の価値観になってしまうため、友人・知人に聞けば良いというものではありません。あくまでも、客観的というのは自分以外の他人のことではなく、裁判所であると認識しましょう。つまりは、裁判所が返済できない状態であると判断するかどうかが、自己破産では重要になってきます。

借金が少額でも自己破産が認められやすい状況

借金が少額な場合、支払い不能状態であると認められにくくなるのは事実です。数十万円の借金であれば、少しアルバイトでもすれば稼げてしまう金額ですから、こればかりは仕方ありません。しかし、中には少額であっても稼げる状況にない方はたくさんいらっしゃいます。
では、借金が少額でも自己破産が認められやすい状況とは、どのような状況でしょうか。

年金で生活している高齢者

年金で生活している高齢者の方の場合、たとえ借金が少額であっても自己破産が認められることが多くなっています。年金は、国民健康保険に加入していた方と厚生年金保険に加入していた方でもらえる金額が大きく異なるものの、どちらも決して大きな金額ではありません。高齢者の方が再度働きに出ることも可能ですが、身体の問題等から十分な収入を得るのが難しい場合は、支払い不能状態であると判断されやすいです。

専業主婦(主夫)

専業主婦(主夫)の方の中でも、働きに出るのが難しいため、専業で家事をしているという方は現実にたくさんいらっしゃいます。たとえば、子どもがまだ小さかったり、両親の介護が必要だったりと理由は様々です。こういった状況にある方は、たとえ借金が少額であっても自己破産が認められやすい状況と言えるでしょう。

事情があり無職の人

病気で働けない、中高年の方が突然リストラされて次の職が見つからない、といった特別な事情があって無職の方も、借金が少額であっても自己破産が認められやすくなっています。

生活保護受給者

生活保護受給者の方は、生活保護を受ける前提として、借金があれば必ず自己破産手続きを勧められます。市区町村によっては、自己破産の申し立てをしなければ、生活保護費を支給しないといった運用もされています。そして、生活保護を受けている方はどれだけ少額の借金であっても、自己破産はほぼ間違いなく認められることになっています。
この理由は、生活保護費というのは生活のために使うべきお金であって、個人がした借金の返済に充てるために支給されているわけではないからです。生活保護受給者の方は、隠れて借金をしたり、返済をしたりすることがないようにしてくださいね。

自己破産にはデメリットが伴う

少額での自己破産を検討している方は、自己破産のデメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。なぜなら、数十万円の借金を免除してもらうために、これだけのデメリットを負う必要があるのか、しっかりと検討してもらいたいからです。
自己破産には、主なところで以下の4つのデメリットがあります。

①持ち家や車といった財産を失う可能性がある
②新規の借入が数年間困難になる
③官報に自己破産の事実と住所・氏名が記載される
④手続き中は様々な制限がある

①持ち家や車といった財産を失う可能性がある

自己破産をすると、ご自身の名義の財産を失う可能性があります。すべてを失ってしまうわけではありませんが、具体的には時価で20万円以上の財産は手元に残すことができません。
たとえば、持ち家や車といった財産はすべて手続きの中で清算される恐れがあります。

②新規の借入が数年間困難になる

自己破産だけに限らず、債務整理共通のデメリットですが、新規の借入が数年間困難になります。これは信用情報に傷がついてしまうためです。一般的に自己破産の場合は、5~10年程度はクレジットカードの保有や、ローン審査に通ることができなくなってしまいます。

③官報に自己破産の事実と住所・氏名が記載される

自己破産をすると、官報という国が発行している紙面に住所と氏名が掲載されることになっています。とはいえ、官報に関しては購読者自体が少ないため、デメリットといってもそれほど気にする必要はありません。ただ、昨今は「破産者マップ」といって、官報に掲載された情報をネットに転載されていたことが問題視されています。気にする方は気にするのが官報への掲載なので、この点についてはしっかりと理解しておきましょう。

④手続き中は様々な制限がある

自己破産の申し立て後、手続きが終了するまでの期間は様々な制限を受けることになります。たとえば、一部の職業や資格が制限されたり、引っ越しや旅行に制限がかかるなどです。いずれも自己破産の手続きが終了すれば解除されますが、一時的な不自由は自己破産のデメリットの1つとなっています。

任意整理や個人再生も検討しよう

そもそも借金が少額である場合、自己破産までする必要がないケースもあります。
自己破産は他の債務整理に比べて、今まで築き上げた財産が失われてしまうなど、デメリットが大きい手続きであるため、避けられるのであれば避けるに越したことはありません。
債務整理手続きには、自己破産以外にも任意整理や個人再生といった手続きがあります。
以下にてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

任意整理とは

任意整理とは、現在支払っている利息分や手数料をすべてカットし、借入元金のみを返済するだけで完済扱いにしてもらえる手続きです。返済期間は3~5年程度となっているため、毎月の返済額を抑え、無理のない範囲で返済を継続していくことができます。
とはいえ、返済自体は継続しなければならないため、一定の返済能力は求められてしまいます。任意整理が可能かどうかは、専門的な目線がどうしても必要になってしまうため、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談して判断してもらうのが良いでしょう。

個人再生とは

個人再生とは、裁判所からの認可決定を受けることで、借金を大幅に減額してもらう手続きです。返済期間は原則3年、事情次第で5年まで伸長が可能となっています。借金の減額幅は7~8割程度と非常に大きいため、返済負担を一気に減らすことができます。
ただし、こちらも任意整理と同様、返済自体は継続していかなければなりません。一定の返済能力が求められてしまうため、利用可能かどうかの判断は専門家にしてもらいましょう。

まとめ

自己破産の条件に具体的な借金総額の定めといったものはありません。
しかし、裁判所に支払い不能と認められる余地があるのであれば、手続きを利用してみる価値は十分にあります。自己破産が認められれば借金の返済義務がすべて免除されます。
とはいえ、もし自己破産が難しい場合であっても、債務整理には任意整理や個人再生といった他の手続きがあります。自己破産以外の債務整理の選択も含め、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか?専門家から自分に適した方法をアドバイスしてもらえれば、借金問題を解決させる指針となってくれます。昨今では無料の法律相談を実施している事務所が増えてきているため、ご自身の近くの法律事務所を探してみることをおすすめします。

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