借金の返済義務がなくなることが自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットといえば、なんといっても「借金の返済義務がなくなること」です。数ある債務整理手続きの中でも、自己破産は最後の手段といった側面が強く、どうしても借金の返済が継続できない方のために、すべての借金の返済義務を裁判所から免除してもらうことができます。それ以外にも、自己破産にはいくつもメリットがあるのですが、当然デメリットについても気になってしまいますよね。
そこで今回は、自己破産のメリットだけでなく、デメリットについても解説していきます。自己破産の正しい知識を身に着けて、借金に悩まされない日々を手に入れましょう。

自己破産の最大のメリットは借金の返済義務がなくなること

自己破産の最大のメリットは借金の返済義務がなくなることです。借りたものは返して当然といった否定的な意見もある中、借金返済への手立てがなくなってしまった方にとっては、まさに救済ともいえる手続きです。事業に失敗してしまったり、収入の減少や避けられない出費など、様々な不運・不幸が重なってしまう方がいてもおかしくはありません。そういった方に再スタートの機会を与える、といった意味合いが自己破産には強いです。
とはいえ、借金の返済義務がなくなることを悪用する方も出てくるため、借金の免除(免責決定)の判断は、裁判所が慎重に行うことになっています。

自己破産のメリットは借金の返済義務がなくなることだけではない!他にも8つ!


自己破産のメリットは、借金の返済義務がなくなるだけではありません。
他にも、下記のような8つのメリットを受けることが可能です。

1.債権者からの取り立てが止まる
2.債権者が強制執行(差し押さえ)できなくなる
3.既に係属中の訴訟は中断される
4.生活に必要な家具家電と少しの現金は残すことができる
5.手続き中も生活や仕事はそのまま続けられる
6.安定した収入がない人も手続きできる
7.家族の財産には影響がない
8.賞罰欄に記載する必要はない

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

債権者からの取り立てが止まる

自己破産をする際は、司法書士や弁護士といった専門家に依頼するケースがほとんどです。そして、専門家が手続きに着手する際は、債権者に対して「受任通知」を発送します。この受任通知は、専門家が債務整理手続きに介入したことを通知するだけでなく、その後の手続きの窓口はすべて専門家が担当する旨も通知しています。これを受けた貸金業者は、専門家を挟まずに本人と連絡と取ることができなくなります。言い換えれば、貸金業者からの請求がストップするということです。自己破産を専門家に依頼さえしてしまえば、もう貸金業者からの催促に悩む必要がなくなるというメリットがあります。

債権者が強制執行(差し押さえ)できなくなる

自己破産の申し立て後、債権者は強制執行(差し押さえ)をすることができなくなります。
これは、破産者の財産はすべての債権者に対して平等に取り扱わなければならないルールがあるため、特定の債権者だけが破産者の財産を差し押さえることができなくなります。
すでに債権者から判決を取られているという方は、銀行口座や給与といった資産を差し押さえがされてしまう前に、自己破産の申し立てをするのが良いでしょう。

(債権者から訴訟提起されている場合)訴訟は中断される

判決はまだ出ていないまでも、すでに訴訟提起されているという方も、自己破産を申し立てることで訴訟手続きは中断されることになっています。放っておけば判決が出てしまうところですが、自己破産を申し立てることで回避することができます。その後、破産手続きが進み、裁判所からの免責決定が出されれば、支払いは免除となりますので、訴訟は続行することができなくなり、通常は債権者側で取り下げるケースがほとんどとなっています。

生活に必要な家具家電と少しの現金は残すことができる

自己破産したからといって、すべての財産を失ってしまうわけではありません。生活に必要な家具家電はもちろん、現金も99万円以下であれば手元に残すことが認められています。

その他、生活に必要と裁判所が認めれば、自動車などといった高価な財産であっても、そのまま保有することが可能となっています。また、生命保険などの保険契約についても、解約返戻金が20万円以上になる場合は、基本的には解約しなければなりません。しかし、年齢的に再加入が難しい場合などは、解約返戻金の一部を支払うことで契約自体を残せることもあります。

このように、残せる財産については、裁判所の判断や協議の上で決定することもあるため、より詳しく知りたい方は、専門家に相談してみるのが良いでしょう。

手続き中も生活や仕事はそのまま続けられる

自己破産はたとえ手続き中であっても、生活や仕事に支障が出る心配は基本的にはありません。実際に裁判所に足を運ばなければならない回数は、1~2回程度とされていますし、事情次第では1度も裁判所にいかずに手続きを終えられる場合もあります。
自己破産手続きに生活そのものが振り回される心配はないので、どうかご安心ください。

安定した収入がない人も手続きできる

自己破産であれば安定した収入がない人であっても手続きを利用できます。自己破産以外の債務整理手続きである任意整理や個人再生は、返済そのものは継続する手続きであるため、ある程度安定した収入がなければ手続きを利用することができません。

家族の財産には影響がない

自己破産で清算の対象となるのは、あくまでも破産者名義の財産のみです。家族名義の財産については、基本的に影響はありません。ただし、破産手続き前に名義変更をしていたりといった資産隠しが疑われる場合、免責決定が認められない危険があるため注意しましょう。

賞罰欄に記載する必要はない

自己破産は犯罪といった刑事罰がある行為ではありません。よって、履歴書などの賞罰欄(過去の受賞歴や犯罪歴を記載する項目)に、自己破産の事実を記載する必要はありません。
もちろん、過去の経歴などに記載する必要もありませんし、自己破産は自ら告げる必要のない事実です。

基本的に自己破産は生活に何かしら悪影響を与える手続きではないため、自己破産を理由に仕事を解雇されたり、採用されなかったりといった点を心配する必要はありません。

自己破産にはデメリットもある


自己破産には上述したメリットだけでなく、当然ながらデメリットもあります。
具体的には、以下のデメリットがありますので利用前に必ず把握しておきましょう。

1.持ち家や車などの高額な財産を手放すことになる
2.5~10年間ブラックリストに載る
3.住所と氏名が官報に掲載される
4.保証人に請求がいってしまう
5.手続き中は一部の資格・職業が制限される
6.手続き中一部の行動が制限される
7.郵便物のチェックをされてしまう

それぞれ詳しくご説明していきます。

持ち家や車などの高額な財産を手放すことになる

自己破産は、手続きの中で破産者の保有財産を現金化し、債権者に案分して支払いがされることになっています。その基準となるのが、時価で20万円以上の資産です。持ち家といった不動産はもちろん、金額次第では自動車も清算の対象となってしまいます。
こうした高額な財産を手放さなければならない点は、まさに自己破産のデメリットです。とはいえ、いったん手放すことになったとしても、自己破産後にしっかりと貯蓄を続けることができれば、再度手に入れることも十分可能となっています。

5~10年間ブラックリストに載る

自己破産をすることで、5~10年間はブラックリストに載ることになります。正式には、ブラックリストと呼ばれるリストがあるわけではありませんが、個人信用情報機関に記録される事故情報を、ブラック情報などと俗称することがあります。
一度事故情報が掲載されてしまうと、5~10年程度はクレジットカードを保有したり、新たな借入といったことが困難になります。とはいえ、昨今ではデビットカードによるカード決済サービスがありますし、新たな借入ができないことで改めて現金と向き合うことができます。無理な借入を繰り返してしまった癖を、しっかりと治せるという意味では将来へのメリットとも言い換えることができるでしょう。

住所と氏名が官報に掲載される

自己破産をすると、その事実が住所・氏名などの情報とともに官報に掲載されることになります。官報とは、新しい法令公布などを掲載する機関紙です。その他にも、国の政策を周知するために掲載したり、国民の権利義務に関する公告等を掲載したりしています。
基本的には、土日祝日などを除いて毎日発行されていますが、そもそも官報の存在すら知らない方がほとんどとなっています。認知度の低さについては、官報本来の目的としては問題点と言えますが、仮に自己破産したとしても、掲載がきっかけとなって周囲に知られる危険はそれほど高くはありません。そこまで心配する必要はないでしょう。

保証人に請求がいってしまう

借入に保証人がついている場合、自己破産をすることで保証人に請求がいくことになります。この際は、債権者次第ではあるものの、基本的には一括請求されるケースがほとんどとなっています。借入金額によっては、保証人も一緒に自己破産を視野に入れなければならないこともあるため、保証人に対しては事前に説明しておく必要があるでしょう。
どうしても保証人への説明が難しいという方は、専門家に手続きを依頼した際、間に入ってもらうのも1つの手です。遠慮なく相談するようにしてください。

手続き中は一部の資格・職業が制限される

自己破産そのものは、法律上の解雇事由になることはありません。自己破産したからといって、現在の仕事を解雇されることはないのでご安心ください。ただし、自己破産の手続き中に限り、一定の資格・職業が制限されることがあります。あくまで手続き中だけであるため、
手続きが終了すれば、すべての制限は解除されることになっています。
法律上、資格制限を受けるものの中には、「弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・宅地建物取引士・警備員・公証人など」様々な資格・職業が該当します。かなり多岐に及ぶため、もし、ご自身のご職業が制限に該当するか気になる方は専門家に確認してみましょう。

手続き中は一部の行動が制限される

自己破産の手続き中は、旅行や引っ越しなど、住居を離れることは基本的には制限されることになっています。とはいえ、絶対に不可能というわけではなく、裁判所に申請をし、許可をもらうことができれば、行動を制限される心配はありません。
ただし、やむを得ない事情がない限りは、手続きに真摯に臨むという意味でも自己破産中の制限については甘んじて受け入れることを強くオススメしています。

郵便物のチェックをされてしまう

自己破産の申し立て後、一定以上の資産がある場合は破産管財人が選任されることになります。そして、破産管財人選任中は、破産者宛の郵便物はすべて一度破産管財人宛に転送されることになっています。これは、破産者が資産隠しをしていないかをチェックするといった意味で行われますが、こちらも一時的なものとなっています。大まかな期間としては、1~2か月程度となっていますし、内容も破産手続きと関係ないものであれば、中身までを閲覧されることはありません。

まとめ

自己破産は、借金の返済義務がなくなるといった大きなメリットの裏に、しっかりとデメリットが存在している手続きです。しかし、資金繰りに悩んだり将来を悲観したり、債権者からの取り立てや強制執行に怯える日々から解放されることのほうがはるかに大切です。こうした借金に悩まされる日々は、精神面の負担も多大なもので健全とは言えません。積み上げてしまった借金は自己破産によって一度リセットし、借金に悩まされることのない日々を手に入れましょう。とはいえ、自己破産が適正であるかについては個人の状況によって異なります。自己破産についてもっと詳しく知りたい方は、司法書士や弁護士といった借金問題のプロに相談してみるのが何よりもオススメです。

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