個人再生はどんな手続き?手続きの流れを詳しく解説

個人再生は、裁判所に再生計画を提出し認可をもらうことで借金を減額できる手続きです。減額幅は総債務額によっても異なりますが、7割程度減額されます。
また、個人再生は、マイホームをお持ちの方に適した手続きです。住宅ローンが減額されることはありませんが、家を手放すことなく債務整理ができます。

今回は、そんな個人再生の手続きを専門家に依頼した場合の流れについて詳しくご説明していきます。これから個人再生の手続きを検討中の方はもちろん、現在手続き中の方も、今どの段階まで進んでいるのか確認できる内容になっています。

相談から完済までの完全版!個人再生の流れ


個人再生は、以下の流れで進みます。

実際の手続きは、個人再生の方法や個人の状況などによって多少異なるため、
以下はあくまでも一般的な例としてご紹介します。

STEP1:専門家への相談・依頼
STEP2:受任通知が送られ督促が止まる
STEP3:債権や財産の調査
STEP4:過払い金返還請求など
STEP5:書類など申立ての準備
STEP6:裁判所に個人再生の申立て
STEP7:選任された個人再生委員との面談
STEP8:履行テスト
STEP9:手続き開始決定
STEP10:再生計画案の提出
STEP11:債権者の決議
STEP12:再生計画案の認可・不認可
STEP13:返済開始(原則3年)
STEP14:完済

STEP1:専門家への相談・依頼

個人再生は、自力で行うのが非常に難しい手続きなので、専門家へ相談・依頼するのがおすすめです。

専門家への依頼は、地域の市区町村役場の無料法律相談を利用したり、無料法律相談を実施しているお近くの法律事務所を探す方法があります。専門家へ依頼する費用でお困りの場合は、経済状況などによっては“法テラス”といって、無料で法律相談できたり司法書士や弁護士など専門家に依頼する際の費用を立て替えてくれる支援センターもあるため、活用しましょう。

STEP2:受任通知が送られ督促が止まる

専門家に個人再生を依頼すると、債権者に対して「受任通知」が届きます。受任通知を受けた債権者は、今後は債務者本人に直接連絡することを制限されるため、督促などの取り立てはストップします。その後すべての手続きの窓口は専門家となり自身で債権者とやり取りする必要はなくなります。

STEP3:債権や財産の調査

受任通知を受けた債権者は、現在あなたに対して保有している債権の額を専門家宛に書面にて発送します。それと同時に、専門家はあなたの財産についての調査をします。調査といっても基本的には事情聴取がメインですので、ご自身の財産状況を偽らず申告しましょう。ここで財産を隠したりしてしまうと、専門家からの信頼を失ってしまうだけでなく、手続きそのものが失敗する危険があるため、専門家には正直に伝えましょう。

債権調査は債権者からの回答が出そろうまで行われますが、一般的には1~2か月程度の期間がかかります。

STEP4:過払い金返還請求など

個人再生に限らず、債務整理の手続き中、債権調査の過程で過払い金が見つかることがあります。過払い金が見つかった場合は、個人再生の申立て前に返還請求をするケースがほとんどです。
そして、回収した過払い金は専門家への費用に充てたり、個人再生の申立て費用に充てたりします。もちろん裁判所には、過払い金を回収した旨を報告しなければなりません。

STEP5:書類など申立ての準備

債権調査が終了すると、その時点での総債務額が確定します。実際は、このタイミングではじめて債務整理の方針が確定することになります。その時点のあなたの収支状況と借金額次第では、個人再生ではなく任意整理や自己破産へと方針転換する可能性もあります(この記事では個人再生に確定したとして、その後の流れについて解説していきます)。

方針が個人再生で確定すると、裁判所への申立てに向け書類などの準備に移ります。
個人再生の申し立てに必要な書類は次の通りです。

・申立書
・報告書・陳述書
・債権者一覧
・収入が分かる書類(源泉徴収票、確定申告書、給与明細書など)
・支出が分かる書類(家計簿など収支表、水道光熱費の領収書など)
・財産が分かる書類(現金や預金口座、保険金、退職金・確定拠出年金、有価証券、不動産など)
・住宅ローン契約書(家を残す場合)
・住民票
など

個々の状況などによっては、この他にも用意すべき書類があるため、専門家の指示にしたがい準備を進めてください。

STEP6:裁判所に個人再生の申立て

必要書類の取得・作成がすべて完了したら、裁判所に個人再生を申し立てます。

個人再生を申し立てるのは、お住いの地域を管轄している裁判所となります。個人再生は裁判所ごとに細かな運用や判断が委ねられているため、地域によって若干の違いがあります。より詳しい流れについては手続きを依頼した専門家に尋ねてみてください。不安点は事前に質問しておきましょう。

STEP7:選任された個人再生委員との面談

個人再生の申立てをすると、個人再生委員が裁判所から選任されることがあります。

個人再生委員は、手続きの中であなたの財産や収入状況を調査したり、再生計画案の作成について指示をしたりするのが職務です。通常は、その地域で個人再生の手続きに精通し、個人再生委員の選任についての登録をしている弁護士が選任されます。
個人再生委員が選任されると、まずは面談を行います。ここで申立代理人がついている場合は、面談に同席してもらうことも可能です。

STEP8:履行テスト

個人再生の申し立て後は、履行テストが行われます。履行テストとは、申立ての段階で作成した返済計画どおりの金額を、実際に支払っていけるか試験をするものです。
個人再生委員が選任されている場合は再生委員が指定した口座へ、そうでない場合は、通常ご自身で専用の口座を開設するか、手続きを依頼した専門家の事務所の預り金口座へ、毎月決まった金額を積み立てていきます。

履行テストを行う期間については、裁判所ごとの運用によって異なりますが、3~6か月程度行うところが多いでしょう。

STEP9:手続き開始決定

履行テストの様子を見つつ、再生計画の履行が見込めると個人再生委員に判断されると、手続き開始決定が裁判所から出されます。その後、申立人は「再生債務者」という立場になりますが、自己破産とは異なり行動制限を受ける心配はありません。

STEP10:再生計画案の提出

個人再生の手続き開始決定が出た後は、裁判所に再生計画案を作成・提出しなければなりません。この再生計画案が、実際に返済する金額などを記載した書面になります。
その前準備として、裁判所はすべての債権者に対して「債権届出書」を提出するよう求めます。ここで債権者から提示された金額が、債権者の主張する債権額です。なぜもう一度債権調査を行うかというと、借金には利息がついているため1日ごとに金額が変化します。

よって、申立て前にした債権調査結果ではなく、この時点での債権額が最終的な債権者が主張する債権額となります。これで最終的な総債務額が算出され、再生計画案に反映されます。
なお、債権者の主張する金額に異議を出すことも可能となっています。債権者が想定以上に損害金を付与してきた際は、異議を提出し裁判所の判断を仰ぐことになります。

STEP11:債権者の決議

小規模個人再生の手続きの場合、債権者による決議が行われます。債権者による決議が行われる場合、債権者または債権総額の過半数が手続きに不同意すると、再生手続きは廃止されることになっています。
とはいえ、一般的な消費者金融や銀行等金融機関が個人再生に不同意することはほとんどありません。不同意が出されるとしたら、個人債権者がほとんどとなっていますので、それほど心配する必要はありません。もし仮に、不同意多数のため小規模個人再生が廃止になっても、再度、給与所得者等再生を申し立てることが可能です。給与所得者等再生の場合、最終的に返済する金額が多少増えてしまいますが、債権者の決議は行われないため、不同意で手続きが廃止されることはありません。

STEP12:再生計画案の認可・不認可

上記の手続きをすべて終えると、裁判所から再生計画案の認可・不認可が出されます。
裁判所からの指示にしっかり従っていれば、このタイミングで再生計画案が不認可になることはほとんどありません。安心して認可決定が出されるのを待ちましょう。

STEP13:返済開始(原則3年)

裁判所から認可決定が出たら、その月の翌月から返済開始になるのが一般的です。個人再生による返済は原則3年となっています。履行テストの際と同じ心構えで着実に返済を行いましょう。

STEP14:完済

再生計画による返済を順調に3年間続けることができれば、無事に借金は完済となります。
後になって債権者から不足分を請求されることもありません。完済を持って、個人再生の手続きはすべてが終了したことになります。

「個人再生の流れ」であなたがかかわるのは5つのSTEPのみ


上述した個人再生の流れで、あなたが実際に関わることになるのは以下の5つのSTEPのみです。それぞれどのようなことをすべきか、簡単にまとめてみました。

①専門家への相談・依頼

専門家への相談・依頼をする際は、専門家の事務所へ直接足を運ぶのが一般的です。専門家の事務所を訪れる際は、印鑑と債権者の情報(名前だけでも可)、借金が膨らむに至った経緯について時系列順に書いたメモを用意しておくと相談がスムーズに進みます。

②申し立ての書類を準備

申し立て書類の準備については、取得・作成する書類の大部分を専門家に任せることができます。しかし、一部取得を指示される書類があるため、指示通りに取得してください。

③個人再生委員との面談

個人再生委員との面談は、原則本人が出席しなければなりません。申立代理人がついている場合は、同席してもらうことも、代わりに質問に答えてもらうことも可能ですので、それほど身構える必要はありません。

④履行テスト

履行テストは、再生計画を遂行できるかどうかを見極めるために必ず行われます。毎月指定された金額を指定された口座に振り込むだけですので、それほど気負うことはありません。履行テストで振り込んだお金は、テスト終了後に返金されます。個人再生委員が選任されている場合は、再生委員の報酬を差し引いた金額が返金されます。

⑤返済

個人再生による返済は原則3年間となっています。長いと感じてしまう方もいるかもしれませんが、返済負担はこれまでと違い大幅に軽減され無理なく支払っていける金額に設定されています。

個人再生の手続きが完全に終結するまでには10年以上かかる

個人再生の手続きは、相談から準備のために3か月~半年程度、申立て後は半年程度かかるため、裁判所での手続きが終了するまでに1年半程度の期間を要します。

その後、完済までの返済期間は原則3年なのでトータルすると5年弱です。さらに、完済から5年程度は信用情報機関の事故情報が消えないため、本当の意味ですべてが終了するまでには10年ほどかかってしまいます。しかし、現状のまま個人再生をしなければ、10年後も借金で悩んでいる可能性は十分にあります。借金の総額も、個人再生の手続きをした場合とは比較にならないほど膨らんでいることも考えられます。

まとめ

個人再生は、手続きの工程数が多く、他の債務整理手続きと比較しても煩雑となっています。しかし、専門家に依頼してしまえば自分自身で行う手続きは少なくなります。自分自身で行う手続きはもちろん専門家のサポートのもと行えるため、時間や労力の負担も少なくすみます。
個人再生を検討している方は、まずは専門家への相談から始めましょう。

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