個人再生をするための条件は5つ。それぞれをわかりやすく解説。

個人再生の手続きは、数ある債務整理手続きの中で最も煩雑とされています。
必要書類が多数あるだけでなく、手続きの条件についても細かな規定がある点が特徴です。しかし、個人再生の手続きができれば、せっかく購入したマイホームを手放なすことなく債務整理できるというメリットがあります。

そこで今回は、個人再生の手続きをするための条件と、安定した収入がない場合でも個人再生の利用が可能なのか等について、詳しく解説していきます。

個人再生の条件は個人再生の種類によって異なる

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つの手続きがあります。

個人再生は、小規模個人再生が基本形となりますので、まずはこちらの手続きを検討するのが一般的です。しかし、小規模個人再生では、債権者の決議を求めます。ここでの決議によっては手続きが廃止されてしまう恐れがあります。そのような場合、次に検討するのが給与所得者等再生です。最終的な返済額は小規模個人再生と比較すると多くなってしまいますが、債権者の意見聴取は行いますが決議は求めません。
ただ、一般的な貸金業者や金融機関が個人再生手続きに対して異議を出すことは稀でしょう。

小規模個人再生の条件は4つ・給与所得者等再生の条件は5つ


小規模個人再生の手続きを進めるための条件は4つ、給与所得者等再生の条件は5つあります。
それぞれについて解説します。

【個人再生手続き共通の条件】
①支払いが困難な状況にあること
②継続的に収入の見込みがあること
③債務の総額が5,000万円以下であること

【小規模個人再生のみの条件】
④債権者の過半数以上の同意が得られること

【給与所得者等再生のみの条件】
④過去7年間に免責、ハードシップ免責、再生改革の認可決定を受けていないこと
⑤定期的な収入(給与の変動幅が年20%以下)があること

条件①支払いが困難な状況にあること

個人再生を利用するためには、支払いが困難な状況にある必要があります。この基準は個人の感覚ではなく、あくまでも客観的に裁判所の判断になります。

債務整理について専門家に相談し、個人再生が適正だとアドバイスをもらえた時点で、支払いが困難な状況にあると言えるでしょう。ただし、実際に債権調査を行い、トータルの債務額や収支状況を細かく精査しないことには正確な判断はできないので、事前に確認しましょう。

条件②継続的に収入の見込みがあること

個人再生は手続き終了後も返済自体は継続する手続きであるため、継続的な収入の見込みがなければ利用できません。しかし、過去にアルバイトの方であっても個人再生の利用が認められたケースがあるため、まずは専門家へ相談をすると良いでしょう。

一方で、生活保護を受給していたり、無職になってしまったりといった場合は、継続的に収入の見込みがあると裁判所には判断してもらえません。このような場合は、状況を改善できるまで期間を置くか、自己破産による解決を図るしかありません。

条件③債務の総額が5,000万円以下であること

個人再生では、債務総額が5,000万円を超える場合は、手続きができません。といっても、個人の方でこれだけの借金があるという方は稀なので、そこまで気にする基準とは言えないでしょう。なお、この債務総額に住宅ローンの債務は含まれません。

条件④(小規模個人再生のみ)債権者の過半数以上の同意が得られること

小規模個人再生では、再生計画案に対して債権者の決議が行われます。この決議にて債権者の過半数、もしくは総債務額の過半数にあたる債権者が手続きへの異議(不同意)を出した場合、再生計画は廃止されることになっています。通常、消費者金融や信販会社などから異議が出されることはあまりありません。
しかし、積極的に異議を出す方針の会社や個人の債権者異議から出されてしまうことがあります。異議が出されそうな場合は小規模個人再生ではなく、給与所得者等再生の申立てへ切り替えるなどして対処しましょう。

条件④(給与所得者等再生のみ)過去7年間に免責、ハードシップ免責、再生計画の認可決定を受けていないこと

給与所得者等再生では、過去7年以内に自己破産による免責決定を受けていないことが利用条件の1つに含まれます。その他に、過去7年以内に再生計画を遂行中に残った債務を免責してもらうハードシップ免責を受けていないこと、再生計画の認可決定を受けていないこと、なども条件となっています。こちらについては、初めて債務整理を利用するという方にとってはまったく関係のない条件なのでご安心ください。

しかし、過去に自己破産や個人再生をしていたという方は、該当する可能性があるため注意しましょう。そういった場合は、別の債務整理手続きを検討する、期間経過を待つなどの対策が必要となってきます。

条件⑤(給与所得者等再生のみ)定期的な収入(給与変動の幅が年20%以下)があること

給与所得者等再生では、手続き共通の条件である継続的に収入の見込みがあることの他に、給与の変動幅が小さいことが条件されており、具体的には変動幅が20%以下であることが目安と言われています。給与所得者等再生はサラリーマンなど毎月一定の収入がある人を対象とした手続きですので、安定した収入が見込まれない場合、給与所得者等再生は利用できなくなっています。

個人再生が適しているのはこんな方!


では、個人再生が適しているのはどのような方なのでしょうか?
個人再生が適しているケースについて紹介します。

①住宅ローンを支払い中の家を持っている方

住宅ローンを支払い中の家を持っている方は、個人再生に適している可能性が高いです。
というのも、個人再生では住宅ローンの支払いを従前どおり継続しながら、その他の債務についてのみ大幅に減額してもらえるという、「住宅ローン特則」があります。
一方で、自己破産手続きの場合は、ローンの支払いの有無に関わらず住宅は必ず手放すことになってしまいます。どうしてもマイホームを守りたい方にとって、個人再生は非常に適した手続きと言えるでしょう。

②自己破産で資格制限を受ける一部の職業の方

自己破産には、一部制限を受ける資格や職業があります。身近なところでは、保険会社に勤めている方や警備会社に勤めている方は、自己破産の手続き中はその仕事に就くことができません。場合によっては会社を辞めなければならないケースもあるため、そういった方は個人再生の利用を検討することが多くなっています。

③借金の理由が浪費やギャンブルの方

借金の理由が浪費やギャンブルの方は、自己破産をしても免責許可が得られない可能性が高くなります。
なぜなら自己破産には、免責不許可事由があり、浪費やギャンブルというのは、自己破産における免責不許可事由の1つだからです。そのため、免責不許可事由に該当している方は、自己破産ではなく個人再生を選択するケースがあります。

ただし、ギャンブルをしていたら必ず自己破産の免責許可が下りないというわけではありません。個人で判断するのは難しいため、専門家に相談するようにしましょう。

他の債務整理の方法を検討した方が良いケース4つ

債務整理というのは、その方の状況次第で適正となる手続きが異なるものです。個人再生を希望していたとしても、その他の債務整理の方法を検討したほうが良い場合があります。具体例として、他の債務整理を検討した方が良いケースを4つご紹介します。

借金の総額が少ない人は「任意整理」

そもそも借金の総額が少ない方は、個人再生よりも「任意整理」のほうが向いている場合があります。
なぜなら、手続きをしてもほとんど減額されない可能性があるためです。

どういうことかというと、まず個人再生後の弁済額の基準は次の3つがあります。

1.法律で定められた最低弁済額
2.所有している財産に応じて算出される清算価値保障基準
3.収入を基準にして算出される可処分所得をベースに算出する基準

個人再生では1と2、給与所得者等再生では1~3のすべてのうち一番高い額が弁済額となるのですが、特に借金総額が100万円以下の場合、法律で定められた最低弁済額は債務額と同じになります。つまり、減額は見込めないので、再生手続きをするメリットがありません。また、資産や可処分所得が債務額を上回る場合も減額は見込めませんので、事前に専門家へ確認をすることをお勧めします。

除外したい債務がある人は「任意整理」

個人再生や自己破産という手続きは、整理の対象とする債権者を選択できません。すべての債権者が手続きの対象になってしまうため、特別に外したい債権者がいる方は「任意整理」が適正です。たとえば、家族や友人、知人が連帯保証人になっている場合は、その債権者を手続きから除外できる任意整理が適しています。

借金総額が5,000万円以上の人は「自己破産」

個人再生は手続きをしようとしている債務の総額が5,000万円までの借金が対処となる手続きです。もし、5,000万円以上の借金があるという方は、「自己破産」を検討することになるでしょう。

安定した収入がない人は「自己破産」

上述したとおり、個人再生は安定した収入がなければ認められない手続きです。もし、安定した収入がないという方は、「自己破産」を選択するしかありません。
なお、生活保護を受給しているという方は、自己破産しか選択肢がありません。

まとめ

個人再生を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。借金を大幅に減額できるだけでなく、住宅ローンを支払いながらその他の借金を減額できる個人再生は、利用を検討中の方も多いのではないでしょうか?しかし、借金や収入の状況によっては、任意整理や自己破産を選択したほうが良い場合があるのは事実です。この記事を参考にしながら、どの手続きが自分にとって最適であるかについては、専門家に相談するのが確実です。

過払い金債務整理のご相談

問い合わせフォーム >
相談無料 通話料無料
借金のご相談、まずはお電話ください!
フリーダイヤル 0120-77-9674
借金減額のご相談は 0120-77-9674